美容師の実績で経営幹部は務まらない

なぜこの本を書いたか

この本は、美容業において部下を持っている「経営者」・「幹部」の皆様に、上司としてのベーシックな思考・行動戦術をまとめさせて戴いたものです。

26歳の頃の私

私が以前勤めていた化粧品会社の営業本部長に就任したのが26歳。 どこで誰と名刺交換しても「社長の息子さんですか?」と聞かれました。これは一般常識的に言えば、そんなな若さでそんなに重要なポストに実力で就任できるわけがない(身内でもなければあり得ない)という意味だったのでしょう。

不謹慎な話ですが、名刺交換した時にされる「えっ?」という表情を見るの面倒だった記憶があります。しかし、会社が実績も出さない若造を「営業本部長」という重い役職に抜擢するはずもなく、私なりにひた向きに努力を続け、お客様(美容師さん)や社長に認めてもらえるようにやってきたわけです。ところが、「若いのに凄いね〜」などと軽く扱われてしまうと何か悲しくなってしまい、その「若いのに・・・って言葉いちいち必要あります?」と食ってかかりたくなる衝動をこらえるのが大変でした。(それが実際に若い証拠なんですが・・・)

一般常識で考えると、「幹部」と名がつく役職は、多くの経験と実績を重ね、一定の年齢と人間的成熟度合が評価されることで初めて道が開けるポジションです。大きな企業では40歳未満で幹部ポストに就任するなどあり得ないドラマです。

ところが、わが美容業界において「幹部」と呼ばれる方々は、早ければ20歳後半から就任していますし、30歳〜40歳くらいの年齢の方が一番多いのではないでしょうか?

私が営業本部長になった年齢が26歳、その後役員になった年齢が30歳でしたが、年齢的にも美容室の幹部の皆様とほぼ同じ境遇にあったと思います。

当時を思い起こせば…

僕も会社の為に必死にやってる、だからみんなも「お客様の為」に「店の為」に「部下の為」に「社長の為」に、出来ることは全部やろう!出来ないことは出来るようになろう!

と、切磋琢磨しながら一緒に成長していたと思います。本当に同じようなことで悩み、苦しみ、共に乗り越えてきました。

私の持論に、「キャリア」とは年数ではなく「経験の数だ!」というものがあります。

これは、ある人が10年間かけて経験してきた内容を、ある人は5年で超えることが十分に可能であるという意味です。

「経験年数=キャリア=力」であれば、大抜擢などこの世に存在することは絶対にありません。

しかし「経験数=キャリア=力」と考えれば、ある人の経験数をそれ以下の短い年数で超えることは十分に可能です。

当時、私たち若手の幹部は、互いに最短距離を歩む決意をし、真っすぐ困難な道を走ってきたように思います。その結果35歳ともなると、怖いものや恐れることが少なくなり、比較的冷静に物事に対峙できるようになったような気がしています。相談をすることよりも、相談を受けることの方が圧倒的に多くなり、そのおかげで多くの方々の悩みを知ることになったのです。

美容室の幹部とは「プレイヤー」兼「経営代行者」

美容室の幹部が一般企業と比較した場合、相当に若くして就任することは先に述べました。そして、その若さで得られる数々の経験とは「経営」の仕事です。経営者に変わって店舗の運営を行い、利益を生み出し、人材を確保し、その人材を技術的にも人格的にも育て、新たなサービスを生み出し、サービスのクオリティを向上させ、結果として来店されたお客様、勤務してくれる社員に対し、より「ハッピー」を提供する。

そんな高次元なミッションをやり遂げるだけでも本当に大変なのに、自分自身も「いち技術者」として、「いち美容師」として、顧客から支持され、自ら「売り上げ」という結果を残し続けなければならない。このようなスペシャルなことを要求されるのが美容室の幹部という立場です。それも、「若くして」このすべてに取り組み、結果を求められるのです。

そんな幹部の皆さんを私は心から尊敬していますし、応援しています。どんな職種よりも良くなって戴きたいと願わずにはいられません。

ただ、同時に経営者に匹敵する厳しさを求めたいと思います。それは、「お客様や社員に多大な影響を及ぼす立場」にいるからです。

幹部の皆さんのあらゆる言動、行動、判断、振る舞いは、その環境に存在するすべての人々に影響を与えてしまいます。だからこそ「好影響」を与え続け、会社をより良い方向に導いて欲しいと望んでいます。

私は美容業界にお世話になってから約25年の月日が経ちます。(2017年7月時点)その間、全国各地のサロン様と深いお付き合いをさせて戴きました。

サロンでのミーティングが荒れたとき、講習がしらけた雰囲気で終わったとき、起きた問題の解決が不完全だったとき、スタッフ同士が揉めて険悪な雰囲気になったとき、翌朝の朝礼には可能な限り参加するようにしていました。遠方の場合は車に泊り、翌朝の朝礼に参加してから移動する。そんなことも珍しくはありませんでした。地方だと次の訪問スケジュールまで期間があいてしまうのでそのままにして帰れなかったのです。

他にも、無断欠勤して行方が分からなくなったスタッフの捜索に行ったり、居酒屋に店販を売りに行くというので心配で同行したこともあります。早朝からポスティングに行ったり、退職したいというスタッフを説得するために徹夜になったり… 本当にいろんなことに関わらせて戴きました。

でも、一番時間を使ったのは「幹部」のみなさんの抱えている問題の解決でした。幹部の皆さんは、「経営者との関係性による悩み」、「部下との関係性による悩み」、「サロン内の人間関係の悩み」、「売り上げの悩み」、「営業の悩み」、「将来への悩み」、「家庭の悩み」、「金銭的な悩み」など、あらゆる悩みと問題を抱えています。そうやってたくさんの方々に関わらせて戴いたおかげで、私は美容師さんが抱える悩みの多くを知ることにつながり、解決方法を一緒に考え、お手伝いする事が出来たのです。

ただ、ここ数年間は新しい悩みの相談を受けたことがありません。これは、個人面談を数多く重ねてきた結果、現時点で幹部の皆さんが突き当たる悩みと問題のほとんどを伺ったからではないかと私は考えています。

問題が出てからその対処方法をお伝えすることはとても大事です。でも、「どんな問題が起きるか?」そしてその問題は「何が原因なのか?」を事前に知っておくことが出来たとしたらいかがでしょうか?

私は幹部の皆様に対し、「店長、今の問題をこのままにしておくと、こうなりますよ!」と、言わせて戴くことが数多くあります。そして、この予測は残念なことに的中してしまうことが多く、結果として「なんで分かるんですか?」と不思議がられます。

「なんで分かるんですか?」

この問いの答えは単純です。その問題にかつて絡んだことがあるからです。しかも、店を変えて、人を変えて、何度も何度も絡んだことがあります。店や人が変われば問題の出方は変わります。しかし、「解決策」と「予防策」はいずれも同じだという事を付け加えておきます。

「人間」が集まって組織になる。

という事は、あらゆる問題は「人間」の問題なんです。そして、特殊な人格を持つ人や変人は、ちゃんとした美容師さんにはいません。

美容師という職業を選択する方々は「人の喜びを自分の喜びにできる」、「きれいになることもきれいにすることも好き」という素敵な性質を持っています。

すると、同種の人間たちが集まって、同じ喜びを目指して集団を形成し、それが組織となっていることが分かります。そのように考えると、一見複雑な問題が出たとしても、それは似たようなところに収束していくと考えられます。業界が抱えている問題もほとんどが同じ問題です。新入社員の「離職問題」や若手スタッフの「コミュニケーションスキルの低さ」、「意欲の低さ」や「心の弱さ」なども業界全体に共通した課題です。問題の本質は同じなのですが、個性や性質によって違うように見えているだけなのです。

では・・・もしも、それらを事前に把握し、対策をもって臨むことが出来るならばどうでしょうか?

その問題はなぜ起きるのか?
どうすれば解決するのか?
今後その問題が起きないようにするにはどうしたら良いか?
幹部としてどうあれば良いのか?

これらが事前にテキスト化されていたらどうでしょうか?

きっと、「同じような悩みを抱えている人が多いんだな〜」と感じることができると思います。

本書は、前著である【美容室「店販」の教科書】同様、美容師さんと共に無数の課題にぶつかり、それらを解決してきた経験を踏まえ、問題解決の参考書として書かせて戴きました。美容室の運営上、起きる様々な問題や課題に遭遇した時、一度この本を開き、関係するページをぜひとも読んでみて戴ければと存じます。

美容室「幹部」の教科書 - 目次 -

1章 美容室「幹部」の9大職務
  1. 1. 最短で「売れっ子スタイリスト」に育てる
  2. 2. 美容のプロに育てる/美容師に誇りを持たせる
  3. 3. 新規がたくさん来店するサロンにする
  4. 4. 一度来たお客様が、また来るサロンにする
  5. 5. 「チーム力」を高め、店舗目標を達成させる
  6. 6. 所属する「会社」や「社長」が大好きなスタッフをつくる
  7. 7. 入社希望者が絶えないサロンにする
  8. 8. スタッフが退職しないサロンにする
  9. 9. 社員に規律とルールを守らせる
  10. 10. 美容室の「マネジメント」に必要な2つの能力を習得する
  11. 2章 スタッフの成長スピードが倍増する教育プラン
  12. 1.美容師として成功するために必要な4つのベーススキルとは? 
  13. 2.営業力
  14. 3.コミュニケーション力
  15. 4.公人力
  16. 5.「学生」と「社会人」の違いを教える
  17. 6.スタッフのステージによって育て方は変わる
  18. 7.会話が成立しないスタッフは必ず売れない美容師になる
  19. 8.得意なことを見出し、講師をしてもらう
  20. 9.何はよい、何は悪い 評価基準を明確にしよう
  21. 10.「どこまでは許すか?」事前に決めて指示を出そう!
3章 売上のベースと数字のつくり方
  1. 1.売上アップに強くなろう! 美容室売上の公式
  2. 2.もっとも嬉しい「自然集客」を増やすには? 
  3. 3.他店との「差別化」「独自化」を明確にしよう
  4. 4.「お買い上げ点数を増やす」という概念を持つ
  5. 5.店販の多角的販売をはじめよう
  6. 6.スタイリストの個人売上は「技術力アップ」でしか得られない
  7. 7.美意識の高いお客様を育て、集めることが鍵
4章 チームをまとめ、目標を共有し、達成させる上司力
  1. 1.チーム力強化の鍵は幹部の「ヒューマンスキル」
  2. 2.言葉を使わない指導で「やる気」と「やらざるを得ない環境」をつくる
  3. 3.なぜ部下に振り回されてしまうのか? 
  4. 4.「リーダーシップ」と「ヘッドシップ」を誤解していないか? 
  5. 5.最高の自分をスタッフに見せよう! 
  6. 6.達成する目標の決め方
  7. 7.目標を達成に導く3つの根拠づくり
  8. 8.「伸びる会社の会議」、「伸びない会社の会議」その違いを知ろう! 
  9. 9.ルール破りを絶対に認めない
5章 有望スタッフの退職を減らす! 辞めない仕組みづくり
  1. 1.「サロン」を辞める? 「美容師」を辞める? 
  2. 2.技術力で伸び悩むスタッフは退職率が高くなる
  3. 3.「人間関係」が引き金を引く
  4. 4.新卒者の早期退職を減らす
  5. 5.スタッフの「ほめ方」「認め方」を変えよう! 
  6. 6.「やる気のあるスタッフ」が辞める理由
  7. 7.新入社員が深刻な顔をして辞めたいと言ってきた時に注意すること
  8. 8.インフォーマル組織(裏組織)が強い会社は退職が絶えない
  9. 9.長く働いてもらうために考えなければならないこと
6章 「部下がついてきてくれない!」「社長が認めてくれない!」と悩む前に振り返ろう
  1. 1.個人売上(数字)が低くないか? 
  2. 2.「とにかく誰からも嫌われたくない病」にかかっていないか? 
  3. 3.コミュニケーション下手に気づいているか? 
  4. 4.スタッフに仕事を任せているか?
  5. 5.幹部が単なる古株になっていないか?
7章 「幹部」が伸びた分だけ会社はよくなる
  1. 1.格上の人と積極的につき合おう! 
  2. 2.「人生の先輩」の役割もこなそう
  3. 3.「切り取り思考」を身につけよう
  4. 4.マイナスの出来事を未来に活かす思考習慣
  5. 5.幹部になることを目標にしてもらうために注意すること
  6. 6.社長を勇気づけるのも幹部の大切な仕事
  7. 7.自分の成功は、部下が成功した時
  8. 8.幹部の一番の仕事は「美容師になって本当によかった」と言ってもらうこと
おわりに

300人の面前で、部下からの批判にさらされた「公開処刑」を乗り越えて

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